かかとを浮かして構えてはいけない(1)
立っている時、歩く、あるいは走るとは、言い換えれば重心の安定や移動とも言えます。
スポーツにおいてボールや人に対しての反応でフットワークとして身体を素早く移動させなければいけない場面は多々あります。

その身体を移動させるに当たって、大きく二つの考え方があります。
それは
「筋力を使い蹴って移動しようとする」発想と
「身体のバランスを崩して移動する」発想です。
筋力を使ってつま先で蹴っての移動では、
素早く動くに為に、いつでも力が入る体勢を作ろうとしますので、動く準備として踵(かかと)を浮かしてつま先体重で構える事が正しいと考えている人がほとんどだと思います。
しかし、つま先立ちで構える事自体が不安定で、「ふくらはぎ」に無用な緊張を強いられます。
パフォーマンスとしてもつま先で蹴って動こうとすると一旦「タメ」を作らなければいけない為、結果的に一瞬の遅れを生じます。
また、つま先で蹴る事で、ふくらはぎの筋腹ばかりかアキレス腱や足裏の足底腱膜、甲の所の中足骨やリスフラン関節などに負担がかかり障害を起こし易くなります。
実際、膝から下の障害を起こす方は、ほぼこうした使い方をしています(足部アライメント不良は除きます)。
障害までいかなくとも、ふくらはぎ(下腿)の発達は脚末端の「重り」となり素早い動きを阻害します。
そして練習後ふくらはぎが張りやすかったり、疲れ易かったりもします。
これはこれで一つの考え方ですが、結果としてデメリットの方が多いためJPSAでは推奨していません。
それに対して、身体のバランスを崩しての移動は足の裏全体を着いている「べた足」ではありますが重心は一点となる為、そこからの素早い動きは可能となり、障害リスクは大幅に少なくなります。
次回はそのことについて書いていきたいと思います。